磯俣秋男駐アラブ首長国連邦特命全権大使からのメッセージ

令和5年8月11日

人材は国の礎(いしずえ)~日本企業でのインターンシップ~

(2023年8月)
 

 

          

 

報告会出席者とともに

 

 

磯俣大使による挨拶

 

 


 8月初めに、日本国際協力センター(JICE)が日本企業の協力を得て実施しているUAEの大学生向けインターンシップ事業の報告会がアブダビで行われました。今年度の事業には13名のエミラティの大学生が参加し、これらのインターンは、日本で、UAE国内で、あるいは双方の地で合計8週間の研修を受けました。実際に見聞・体験した業務のみならず、日本の職業倫理、日本での生活体験を含め、各々が多くのことを学んだ大変有意義な研修となったようであり、協力頂いた日本の企業、UAEの大学、JICEを始め、関係者の方々の熱心な取組に敬意と感謝を表したいと思います。
 
 日本ではよく「十年かけて木を育て、百年かけて人を育てる」、「教育は国家百年の計」と言います。人材の育成には時間を要しますが、人材は国の存立と発展の礎であり、日本は古くから一貫して教育を重視し、人材育成に力を注いできました。戦後から1960年代にかけて日本が急速な経済復興を遂げ、その後の繁栄の基礎を作った背景にも、教育への投資があったことは、世界銀行の1993年の報告書「東アジアの奇跡」(The East Asian Miracle)にも記されています。その後日本が発展を遂げ、途上国向けに開発援助(ODA)を行う中でも、人材育成は常に重要な部分を成しています。
 
 7月に日本の岸田総理大臣がUAEを訪問し、ムハンマド大統領と会談しました。UAEが経済多角化を進め、また脱炭素社会への歩みを進める上で、自国の人材の育成は国の発展を支える重要な柱となっており、現在UAE政府が、将来を見据えて教育や人材育成に一層注力していることに日本としても大いに共感しています。日UAE関係が従来からの石油・ガス分野に加え、今や様々な分野で協力を拡大している中で、教育分野での協力も一層強化していくことで両首脳の認識は一致しています。
 
 インターンシップに参加したUAEの若者には、研修の成果を是非今後の仕事のキャリアや自己実現に活かしてほしいと思いますし、その体験をそれぞれ可能な形で日UAE関係の促進にも役立ててほしいと考えます。また、それぞれの日本企業でのインターンシップ体験を友人たちと広く共有し、共感の輪を広げてもらえればと思います。人材育成は息の長い取組であり、必ずしも直ちに成果が生まれるものではありませんが、UAEの未来のために、日本の未来のために、両国官民で協力して取組を続けていきたいと考えます。引き続き皆様のご協力とご支援をお願いします!