磯俣秋男駐アラブ首長国連邦特命全権大使からのメッセージ

令和5年1月18日
日本とUAEの「新たな50年」の初めに当たって
(2023年1月)
 
   
  磯俣大使(2022年12月のジャパン・フェスティバルにて)   アブダビ日本人学校の日本人及びエミラティの生徒たち(同)
 
 
    昨年は、UAEと日本それぞれにおいて、大統領の交代があったり、安倍元総理が銃撃を受けて亡くなるという衝撃的な事件があったり、政府間での閣僚レベルの要人往来やハーリド殿下(アブダビ執行評議会委員兼執行事務局長)の訪日(安倍元総理の国葬儀への出席)といった大きな動きがありました。また、日本とUAEの外交関係樹立50周年を記念して官民で種々のイベント等も行われました。
 
    国際情勢に目を転じれば、ロシアのウクライナ侵略という国際秩序の根幹を揺るがす事態が発生してなお進行中です。各国が新型コロナ感染症の影響から経済社会活動の正常化を進める中で、サプライチェーンは更に大きな困難に直面しており、物価の急激な高騰も招いています。我々は今や”Permacrisis”や”Polycrisis”とも言われる「常態化・複合化した危機」の中にあり、しかもその出口は見えていません。
 
    このような状況に対して、単純明快で即効性ある解決策はありません。各種の情勢を十分に見極めながら、大局的視点を失うことなく、個々の課題に丁寧に、しかし必要な時にはリソースを投入して大胆に取り組んでいくしか道はないと思います。そういう中で、信頼できるパートナーとの関係を維持・強化していくことが一層重要になっています。日本とUAEは半世紀以上にわたる石油・ガス分野での協力を基礎に強固な協力関係を築いており、この貴重な財産を礎に、両国関係が新たな高みに到達できるよう、知恵を出し、行動を起こしていくことが求められています。
 
    当地での50周年記念行事のグランド・フィナーレとして大使館が先月開催したジャパン・フェスティバルでは2,500人を超える人が来場し、会場は人が溢れんばかりの大盛況となり、UAEの人々の日本への関心は引き続き非常に高いことを改めて実感しました。高校生交流事業で東京から当地を訪れていた都立高校の生徒たちも参加してくれ、また当地の大学のジャパン・クラブの学生等エミラティのボランティアも熱心に手伝ってくれ、両国関係の未来を支える若く力強いパワーを大いに感じさせてくれました。また、今年はUAEで開催される大型行事としてCOP28があり、脱炭素・低炭素化、GX等に向けて日本とUAEが共に関わる協力案件を打ち出す絶好のタイミングでもあります。さらに、ドバイ万博のレガシーを引き継ぎながら、2025年の大阪・関西万博の成功に向けて協力を進めることも重要です。協力の種は、尽きないと思います。
 
    日本とUAEの友好協力関係が50年を経て「新たな50年」を迎える中で、その最初の年の年頭に当たって気持ちを新たに、皆さんと共に新たな高みに向かって前進する決意を表明したいと思います。本年もよろしくお願いいたします。
 
    (参考:50周年と新たな時代に向けての両国関係に関するUAE国営通信社WAMのインタビュー記事)
“50th anniversary year of Japan-UAE ties finds increased official interactions, new era of cultural relations: Japanese envoy”
https://www.wam.ae/en/details/1395303113687

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