磯俣秋男駐アラブ首長国連邦特命全権大使からのメッセージ

マンガ、アニメ、ゲームとビジネスとの連携！ ～コンテンツとアントレプレナーシップ（起業家精神）～ (2023年11月)
	磯俣大使による開会挨拶		アニメ等関連グッズの展示 (c) アラブ・ニュース・ジャパン

　11月初めに、日本大使館は「マンガ、アニメ、ゲーム：クリエイティブ産業におけるアントレプレナーシップ　日本とUAE」と題するセミナーをアブダビで開催しました。この分野の第一線で活動しておられる専門家の方々をスピーカーやパネリストとしてお招きし、マンガ等人気の高い日本のコンテンツやその創作活動・製作等をビジネスの視点から捉えた興味深く、有意義な意見交換が行われました。
 
　言うまでもなく文化はそれ自体大きな価値を有するものですが、ビジネスと有機的に連携することによって、広く普及させることができ、また一層多くの人に届けられて相互作用が生まれ、内容や創造性を高めることにもつながり、価値を更に向上させることも可能になると思います。文化やコンテンツとビジネスは共に発展することができるという関係にあり、適切な形で連携すれば相乗効果によって、それぞれが更に発展していくと考えます。
 
　今回のセミナーでは、異なる関心を有する参加者に対し、3つの視点からスピーカーやパネリストにより情報と経験を共有することを目的としました。日本のマンガ等の熱烈なファンには、それらのコンテンツに関わる仕事に携わることにより生涯にわたって自らの情熱を追求する方法を見つけるためのヒントを与えること、新たなビジネスチャンスを模索している人には、コンテンツ分野でチャンスを見つけるためのアイデアを提供すること、コンテンツとそれに関連するビジネスの双方に関心を有している人には、第一線で活躍する専門家から実際的な知識や経験を聞く機会を提供することです。
 
　このセミナーでの議論には、またもう一つの重要な側面がありました。人材育成です。UAEは経済多角化や、デジタル経済を含む知識経済化への歩みを進める中で、民間セクターにおけるエミラティゼーション（自国民化）政策を推進し、同時に、良好なビジネス環境や便利な生活環境を提供することにより有能な外国人材を誘致し続けています。このセミナーは専門家の方々の知見を共有してもらうことにより、UAEにおける人材育成に貢献することをも意図したものです。UAE政府は2021年に「文化・クリエイティブ産業国家戦略」を発表し、クリエイティブ人材の育成にも取り組んでいますが、日本はこのUAEの政策への協力も目指しています。
 
　先に述べたとおり文化はそれ自体で大きな価値を有するものであり、常に自ら展開し、発展していく力を有していますが、政府やビジネスの後押しにより、また人材育成の取組とも相まって、その展開が一層促進される部分も大きいと考えます。日本はこうした分野でもUAE及び諸外国の良きパートナーであり、世界中の多くの人々が高い関心を持つ日本のマンガ、アニメ、ゲーム等のコンテンツを最大限に活かした夢のある協力を更に前進させていきたいと思います。