UAEにおける新型インフルエンザ発生状況に関わる概要

平成21年5月25日現在
在アラブ首長国連邦大使館

1.感染状況
感染者1名(うち死者0名)【当地政府発表】

【参考】感染者1名に関する情報(連邦保健省発表)
同人はUAE大学医学部講師で、(注:報道ではカナダ国籍を有するパキスタン人)5月17日(日)にカナダよりアブダビ空港に到着。アブダビ空港到着時にはサーモカメラを問題なく通過したが、翌18日(月)、インフルエンザに似た症状(咽頭痛、発熱、咳)を感じたため、自らアル・アイン市内のTawam Hospitalに出向き、鼻腔(あるいは咽頭)ぬぐい液による簡易検査の結果、A型インフルエンザの陽性反応を示す。ロンドンにおける検体検査の結果、新型インフルエンザH1N1への感染が確認。現在タミフルを一通り服用し、病状は回復中。今後10日間観察下に置かれる予定。なお、同人と同一フライトに乗っていた乗客は全員、これまで何らの病状も示していない。

2.政府等の対応
(1)渡航情報(5月25日現在)
連邦政府は、現時点ではどの国に対しても国民に渡航制限を課していない。他方、アブダビ保険庁はウェブサイトにて、「感染者が確認された地域、あるいは感染の疑いがあるケースがある地域への不要不急(non-essential)な渡航を避ける(avoid)するよう呼びかけている。
(2)検疫等出入国制限措置
アブダビ、ドバイ、シャルジャ各空港にサーモカメラが設置。38度以上の発熱が認めら、かつ新型インフルエンザの感染の可能性が疑われた場合、指定病院に送られ、検査を受ける。
(3)査証に関する措置
新たな措置は取られていない。

(4)他国公館の業務継続
通常通り。

 

3.我が方在外公館の対応
引き続き、情報収集、当地保健省への連絡、在留邦人への情報提供、本省への報告等の作業を継続中。

 

 

新型インフルエンザに対するこれまでのUAE当局の対応(報道ベース)

平成21年5月4日現在
在アラブ首長国連邦日本国大使館

1.国内感染状況
●現在までに感染が疑われるケースはなし。(報道ベース)

2.連邦政府の対応
●連邦市政庁は国内全自治体に対し、世界各国からの豚肉輸入禁止及び国内市場在庫分の凍結を命じる通達を発出。(28日付イッティハード1面、8面)
●保健省令2009/416号に基づき「豚インフルエンザ対策専門委員会(The Technical Health Committee on Combating Swine Flu)」(委員長はアリー/ビン・シュクル同省事務総長、メンバーは保健省、ドバイ保健庁、アブダビ保健庁、連邦軍、内務省関係者で構成)、及び同省令2009/418号に基づき「豚インフルエンザ対策指揮委員会(The Supervisory Committee on Combating Swine Flu)」(委員長はカッターミー保健相、メンバーは保健省、危機管理庁、アブダビ環境庁、財政省、ドバイ保健庁、環境・水資源省関係者)が設置。(29日付イッティハード1面、8面、他)
●在米及び在英各UAE大使館、両国におけるUAE国民の無事を確認。(同上)
●UAE政府、メキシコへの渡航を法的には制限しないが、不要不急の渡航は控えるよう国民に勧告。(29日付ナショナル1面、4面)
●カッターミー保健省、UAE国内には豚インフルエンザ症例は無いと発言。(29日付イッティハード8面、29日付ガルフニュース1面)
●政府、ドバイ・アブダビ両空港に発熱のある入国者を発見するための熱感知機材の設置を決定。(1日付各紙)
●2日、GCC保健相ら、域内における豚インフルエンザ防止のための統一計画策定と共同タスクフォース設置、及び感染が疑われるケースの通報に合意。(3日付各紙)

3.各首長国政府の対応
(1)アブダビ
●アブダビ保健庁が、感染発生地域からの渡航者にインフルエンザの症状が現れた場合必要な治療を受けるよう勧告。(28日付イッティハード1面、8面)
●ムハンマド・マナーイー・アブダビポートカンパニーCEO兼ザーイド港事務総長は、同港は入港する全船舶とその積荷の内容を、アブダビ食品管理庁に報告し、検閲後積荷の安全性が確認されない限り荷揚げは行われない、また、家畜を運搬する船舶は、領海上に停止させ検疫を行ったのちに入港している旨発言。(28日付イッティハード8面)
●アブダビ保健庁のザイド・シクシク事務局長が、同庁が豚・鳥両インフルエンザ治療用のタミフル389万6300カプセル以上を備蓄している、また同庁には空港にて発熱のある入国者を発見するための熱感知機材が最低2台あると発言。また同庁のムハンマド・アブー・ヘイル・アブダビ保健庁薬学・薬品課課長は、同庁が備蓄しているタミフルの有効期限は2011年まであり、インフルエンザ対策のための代替薬品も十分にあると述べた。(28日付アル・ハリージュ11面)
●アブダビ市庁が、市内全てのスーパーマーケット及びレストランから豚製品(メニュー)を撤去するよう命令。(29日付ナショナル1面)
●アブダビ空港が、潜在的に感染の可能性のある旅行者を発見するために必要な機材・人材を配置したと発表。(29日付ナショナル4面)
●アブダビ保健庁、ウェブサイト(http://www.haad.ae)上にて、豚インフルエンザ予防策、感染確認国・地域からの帰国者に対するアドバイス等の関連情報ページを設置。(30日付アル・バヤーン22面)

(2)ドバイ
●アリー・マズルーキー・ドバイ保健庁公衆衛生部長は、鳥インフルエンザ緊急委員会が既に(ドバイ)空港内クリニックセンターに疑わしい症状に対する24時間体制の警戒を促したこと、ラーシド・ホスピタルの隔離病棟にアラートを発したこと、さらに新型インフルエンザが発見された場合の質問事項や関連情報及び手続き等を定めた医者用ガイドラインを策定したことを発表。(27日付ナショナル1面、3面)
●ドバイ空港、入国者の検査のため厳格な対応措置を実施開始。(28日付イッティハード1面、8面)
●アリー・マズルーキー保健庁公衆衛生部長は、緊急事態に必要となる機器を備えた隔離病室はドバイで20存在し、またムハイサナ労働者診断センターに100~150名収容可能な隔離スペースがある、更に同保健庁には全てのウイルスを治療可能な薬が存在する旨発言。(28日付イッティハード8面及び28日付ナショナル5面)

4.薬剤備蓄関係
●UAEはすでに鳥インフルエンザ対策のため400万カプセルのタミフルを備蓄しており、右はインフルエンザ発生初期の段階において40万人に投与するのに十分な量である旨、ある政府高官が発言(28日付ハリージュ・タイムズ3面)
●アリー・マズルーキー保健庁公衆衛生部長は、1年半前に輸入され5年有効のタミフルが100万カプセル存在し、約4万人(注:ナショナル紙の記者に確認したところ、10万人の誤りである旨回答あり)の治療が可能、これらはドバイ保健庁関係機関でのみ入手可能で、アクセスは限定されており、全ての医者が処方できるわけではないと発言。(28日付ナショナル5面、28日付イッティハード8面)
●アブダビ保健庁のザイド・シクシク事務局長が、同庁が豚・鳥両インフルエンザ治療用のタミフル389万6300カプセル以上を備蓄している、また同庁のムハンマド・アブー・ヘイル・アブダビ保健庁薬学・薬品課課長は、同庁が備蓄しているタミフルの有効期限は2011年まであり、インフルエンザ対策のための代替薬品も十分にあると述べた。(28日付アル・ハリージュ11面)
●カッターミー保健相、国内には鳥インフルエンザの治療に用いられ、かつ豚インフルエンザの治療に用いられる薬剤が国内500万錠あり、1人分10錠と計算して、右は50万人を治療するのに十分であると発言。(4日付イッティハード5面)