未来を創る若者たちを応援します(その2:YAPとハーリド殿下訪日)
(2022年10月)
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YAPオリエンテーションに参加したエミラティ学生たち(8月)
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日本から帰国直後のハーリド殿下がADIHEX2022日本ブースを訪問(9月)
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日UAE国交樹立50周年に当たる今年から、UAE政府が運営する「ユース・アンバサダーズ・プログラム」が日本向けにも始まりました(The YAP Japan)。これは、UAE人(エミラティ)の大学生が学部卒業後に日本の大学院(主として英語で運営される学位コース)に進学することを支援するプログラムで、1年から1年半をかけて、日本語や日本文化の講習、短期の訪日研修、留学・キャリア支援のカウンセリング等を行うものです。YAPは既にいくつかの国との間で実施されてきたもので、今回から日本も対象となりました。
今年のプログラムは7月から始まり、2023年秋からの日本の大学院(修士課程)への留学を想定していますが、予想を大幅に超える応募数があり、選考に時間がかかったと聞いています。選考された学生を対象としたオリエンテーションが、日本側でプログラム実施に携わる日本国際協力センター(JICE)とUAE側の共催で8月下旬に行われ、私もそれに参加して、これらの学生と接する機会がありました。日本留学も考慮に入れた将来のキャリアに思いを馳せる若き学生たちに、私からは以下を述べて激励しました。
(YAPに関するUAE国営通信社WAMの記事)
“21 Emirati participants were selected for 1st Youth Ambassadors Programme between UAE, Japan”
https://wam.ae/en/details/1395303080811
【日本で勉強することのメリット】
質の高い生活環境の下で、また、生理学、医学等科学分野でのノーベル賞受賞者数は世界トップクラスという教育・研究環境の下で、先端技術を含む高度の学問を学べる。また、産業とアカデミアと政府がコラボしながら民間部門の活力を支える社会を体験することができる。
【日本で生活することのメリット】
異なる文化に身を置いて生活することにより、新たな世界への窓を開くチャンスを見つけられる。四季折々の風景と自然、長い歴史を有する伝統芸術、マンガやアニメなどのポップカルチャー、日本では必ず自分が好きになるものが見つかる。地方独自の豊かな文化の体験も有意義。
【日本での勉強は将来のキャリアにどう役立つのか】
世の中が低炭素化・脱炭素化に向かい、知識経済が社会の基盤となっていく中で、必要なのは不断にイノベーションを起こす能力。日本で勉強することにより、最先端の知識や技術を身につけ、また異文化体験によって視野を広げ、自己発展の新たな可能性を開くことができる。これは自らのイノベーション力を高めることに必ず役立つ。
折しも、10月11日から日本はこれまでの厳しい新型コロナ関連の水際措置をほぼ完全に緩和し、毎日の国外からの入国者数の総人数制限や個人観光旅行客の入国停止措置を撤廃しました。また、9月末に安倍元総理の国葬儀出席のため訪日したハーリド殿下(アブダビ執行評議会委員兼執行事務局長)と岸田総理との会談においては、岸田総理からUAE国籍の一般旅券所持者に対する完全な査証免除措置の導入を日本政府として決定した旨伝達し、その後細部の調整を経て、11月1日からこれが実施に移されることになりました。こうしたことにより、日本とUAEとの間での人的往来が幅広い形で再開・促進されることになれば、若者の交流も一層進むことが期待されます。
また、上記のハーリド殿下の訪日時には、日UAEの関係閣僚の間で「包括的・戦略的パートナーシップ・イニシアティブ(CSPI)の実施に関する共同宣言」の署名が行われ、2018年に打ち出されたCSPIの目標に沿って具体的な協力を進めるための枠組みとして、閣僚級協力委員会と5つの小委員会が設置される旨発表されています。この中には、「教育、科学技術及び文化に関する小委員会」が含まれており、学生のための交流及び研修プログラムの強化等も議論されることになっています。来年から日UAE関係の新たな50年が始まるという中で、上記の水際措置の完全緩和とも相まって、非常にタイムリーな形で教育交流・人材交流推進の枠組みが設定されたものであり、政府、民間部門、社会各層で連携しながら、両国の将来の発展を支える若者たちの育成と交流を鋭意進めていきたいと思います。引き続き、各界の皆様のご支援をお願いします!